ご挨拶

新潟県知事
花角英世

 本年10月、新潟県で「世界津波の日」高校生サミットを開催します。

 11月5日の「世界津波の日」は、2015年12月の国連総会において、日本が提唱し、全会一致で採択され、制定されました。これを契機として、翌年2016年から、世界各国の高校生が津波の脅威とその対策を学習するための、「世界津波の日」高校生サミットが日本国内各地で開催されており、本県で5回目の開催となります。

 この間にも、世界各地で大規模な自然災害が発生し、大きな障害となっています。そのため、災害に対する脆弱性を減らし、被害を軽減していくことは国際社会の重要な課題の一つと言えます。

 本県で発生した1964年の新潟地震では、津波や液状化により、沿岸部や内陸の海抜ゼロメートル地帯で甚大な被害が発生しました。また、2004年の新潟県中越地震では、中山間地域で発生した大規模な土砂災害により、尊い命が失われました。私たちは、被災による多くの悲しみや苦しみを経験する中にあって、助け合いや「きずな」は復旧・復興の糧となりました。

 これらの教訓を、大洋州、アジアの国々等と本サミットで議論し、各国の防災、減災に生かしていくためにも、私たちは、大きな被害をもたらした災害の記憶を風化させず、その経験や教訓を次世代に伝承していくことが求められています。

 そのために、世界各国、日本各地から本サミットに参加される高校生の皆さんが、国土強靭化を担う将来の防災リーダーとして、防災・減災・復興について学ぶとともに、世界各国との「きずな」をより一層深め、今後御活躍されることを期待しています。

新潟県教育委員会教育長
佐野哲郎

 「世界津波の日」高校生サミットは、次代を担う世界各国の高校生が地震や津波の脅威について学び、防災・減災・復興の在り方等をともに考え議論することを通じて、互いの「きずな」を深める大変有意義な取組です。

 当初は令和2年度に本県での開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で2年間延期となり、今年10月、開催することになりました。今回は、国内の高校生及び留学生約180名が新潟県に集まり、海外の高校生約80名とオンラインでつながる、ハイブリッド型による新たな方式での開催となります。

 新潟県内の高校からは16校58名の生徒が参加し、サミットの議長や総合司会を務めるほか、アトラクションとして、マーチングバンド、ダンス、伝統芸能、書道パフォーマンスを披露します。

 サミットは、「復興を力に、経験と教訓を世界へ~雪国で育まれた助け合いの精神から学ぶ防災」をテーマに開催します。そして、「災害を理解し、生き抜く力を高める」、「災害リスクの軽減」、「より良い復興に向けて共に歩む」という3つの分科会に分かれ、それぞれのテーマに沿って、参加する高校生が、今後、自分たちにできることを提案し、宣言としてまとめ、世界に発信します。

 参加される高校生の皆さんには、本サミットを通じて親交を深めるとともに、災害から命を守る大切さを学んでいただき、将来の防災リーダーとして世界中で活躍されることを心から期待しております。

新潟市長
中原八一

 サミットが開催されるここ新潟市は、雄大な日本海とそこへ注ぎ込む水量豊かな信濃川、阿賀野川の二大河川、多くの生態系が守られている福島潟、鳥屋野潟、佐潟など、水辺とともに歩み、豊かな水辺空間や四季折々の自然の恩恵を受けながら発展を遂げてきました。

 その自然の恩恵を受ける一方で、1964年に発生した新潟地震では津波が本市の沿岸部を襲い、2011年の東日本大震災での大津波は、東北地方から関東地方の太平洋沿岸に押し寄せ、約2万人もの死者が出るなど甚大な被害をもたらし、世界各国へも大きな衝撃を与えました。そうした過去の災害を教訓とし、ハード面・ソフト面ともに自然災害への備えをすることが不可欠です。

 「『世界津波の日』高校生サミット」は、次代を担う高校生が防災・減災、そして復興について理解を深めることを目的に、自然災害から命を守り、より良い復興を果たすためには何をするべきかを考える大変意義のある取り組みです。今回のテーマである、雪国新潟が経験した災害とそこで育まれた助け合いの精神について多くのことを学び、このサミットを通じて、一人一人が防災や復興について改めて考える契機となることを期待しております。

 そして、このサミットの成果が、国境を越えて広がり、また次の世代へと継承されることで、世界中で津波を始めとした自然災害の脅威についての関心が一層高まり、世代を超えてたくさんの命が救われることを心より願っています。

新潟市教育委員会教育長
井崎規之

 世界各国の高校生が津波の脅威と対策について学ぶ場として、「世界津波の日」高校生サミットが、新潟市において、開催されます。本サミットを契機に、災害から人々の生命や身体、財産を保護し、生活や経済に及ぼす影響を最小にするようなリーダーが育成されるとともに、世界各国や地域との連携をより一層深めることを期待しています。

 新潟市では、「教育ビジョン」により、災害時に危険を自ら察知し、率先して安全確保するための行動ができるよう、自然災害の特徴や地域の自然環境・災害防災について発達段階に応じて学ぶ防災教育を充実させています。また、新潟市立学校においては、社会や自然の状況、学区の状況に応じて地域と連携しながら、防災計画の改善を進めています。

 1964(昭和39)年の新潟地震において、新潟市内では地震発生後に津波や液状化現象が発生し、橋やアパート等の倒壊、石油タンクの火災などの被害がありました。当時の記憶や教訓を風化させることなく、防災に生かすことは私たちの責任であると考えます。

 本サミットでは、世界各国の高校生が、地域の防災や地球の未来について語り合い、津波の脅威や教訓の伝承の大切さ等を世界に向けて発信します。このことをとおして、世界各国の防災教育が充実するなど、自然災害から命を守る取組が一層進むことを期待しています。

議長 新潟県立新潟高等学校(2学年)
乙川文旺

 今回の「世界津波の日」高校生サミットは、2019年の北海道開催以来3年ぶり5回目のサミットとなります。過去4回のサミットを礎に、何を学び、何を伝えるのか。世界各国の高校生が考え、国際社会へ発信する場となることを願っています。

 今回のサミットのテーマのひとつに「復興」があります。「復興」に必要不可欠なものが「きずな」です。この先の社会を担っていく私たち高校生が「きずな」を深め、実りのある議論ができるよう、議長として全身全霊で努力していきます。

 新潟県は、特に農林水産業の面で自然の豊かな恵みを享受している一方、その地理的要因により、数多の自然災害に見舞われてきました。しかし、そのたびに人々が一体となり、助け合いの精神によって復興を遂げてきました。過去を知り、未来につなぐ。今回のサミットをそのための第一歩にすべく、言語や国籍を乗り越え議論します。

 私たちはそれぞれの国の代表としてサミットの舞台に立ちます。互いに協力し、良きリーダー、良き発信者となりましょう。

 10月、皆さんにお目にかかれることを心待ちにしています。

議長 新潟明訓高等学校(2学年)
堰ちはる

 3年ぶりとなる今回の「世界津波の日」高校生サミットは、海外の高校生をオンラインでの参加とすることで、ようやく実施することができました。

 今年のサミットでは、災害の記憶を風化させず、今までの経験や教訓をどのように生かすことができるのかが大きなテーマとなっています。新潟は過去に新潟地震や中越地震など多くの自然災害を経験し、水害や雪害が毎年のように起こっています。被災した人々はどのように耐え、助け合い復興してきたのか。私達高校生は気候変動に伴い、災害の増加する地球の未来を担っていく世代として学んでいかなければなりません。

 このサミットは日本全国、世界中から素晴らしいアイデアを持った高校生が自分達の考えを発信し、共有できる貴重な場です。有意義なサミットにするためには、世界が災害について共通認識を持ち、同じ目標に向かって動いていくようなものにしなければなりません。このサミットが世界のリーダーを突き動かし、共に地球の未来を担っていく新たな防災リーダー誕生のきっかけとなるようにしたいです。

 災害が増加する世界において、被害に遭われる方々にとっての命の砦が世界中に築かれることを願っています。ぜひ自分事として防災・減災・復興について学び、世界中に防災の輪を広げていきましょう。

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