参加高校

分科会テーマ2 グループD

日本(新潟県) 新潟県立新潟南高等学校

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発表要旨

タイトル リアス式海岸の安全地帯
調査内容 調査理由 リアス式海岸とは、海面の上昇や陸地の沈降などにより、山や谷が沈水してできた入り組んだ地形である。リアス式海岸は、豊かな漁場を与えてくれる一方で、津波が高くなりやすいことが知られている(佐藤、2005)。高くなりやすいところは岬の先端及びV字型湾の奥である(水谷、2002)。また、災害時には、車避難では渋滞に巻き込まれやすく危険である。徒歩での避難は、高齢者や小さな子供のように歩行速度が遅い人々にとっては、遠くの避難所に行くには時間がかかってしまい危険である。そこで、私たちは、「リアス式海岸の安全地帯は岬に守られている岬奥である」という仮説を立て、リアス式海岸で最も安全な場所を見つける目的で研究を行った。

調査方法 発泡スチロールを用いてV字型のリアス式海岸の模型を作成し、長さ100cm、幅10cm、高さ20cmの内径のアクリル水槽(津波実験装置)に設置した。リアス式海岸の陸の4地点(1岬の先端、2左岬奥、3湾奥、4右岬奥)にプラスチック製の円筒形模型を設置し、水深を最深部6㎝とし、手動で起こした津波の衝突における円筒形模型の移動距離をデジタルノギスで計測した。水深7cm、8cmで同様の実験を行った。また、津波実験装置の上および右側からビデオによる撮影を行い詳細に水の動きを観察した。
調査対象   
調査結果 水深6㎝の時、岬の先端では津波の衝突により円筒形模型は移動することがなかったのに対し、湾奥と左右の岬奥では移動することがあった。岬の先端では円筒型模型の動いた距離の平均値が0mmだったのに対し、湾奥では平均値が89.14mmであり,有意な差がみられた。水深7㎝及び8㎝の時、岬の先端では津波の衝突により円筒形模型は移動することがなかったのに対し、湾奥と左右の岬奥ではすべて測定範囲を超えて移動した。
ビデオによる詳細な観察の結果初めに勢いよく湾奥に水流が到達すること、その後、湾奥からの水が岬奥にあふれ、円筒形模型を移動させていた。
問題点 「リアス式海岸の安全地帯は岬に守られている岬奥である」という仮説は正しくなかった。とくに湾奥に達した水が岬奥にあふれ、激しい水流ができる可能性が高いことが分かった。我々の実験では岬の先端は安全であった。しかし、岬の先端において遠浅の海域地形が沖に向かって舌状に突き出している地形では浅い海域を巻き込むような方向に波の進行方向が曲げられ、津波が高くなることが知られている(水谷、2002)。海底の地形によっては岬の先端は危険地帯となる。リアス式海岸は急深の地形が多く、急深の海底近くの岬の先端は安全地帯として避難所の設置場所となりうると考えている。
アクションプラン  過去の被害の大きいリアス式海岸の海底地形を調べ、より詳細な実験を行いたい。
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